赤い。固定観念を霧消させる酸の表現者。
ベトナムはチョコレートの固定観念をバキッと崩してくれる特別な存在であり、昔は忌み嫌われた酸味のあるチョコレートである。その酸味は発酵によって生まれた生物多様性を表現する。この一枚のチョコレートが、この宇宙とこの私、そして空気中や土中の微生物の世界を視るキッカケを食べる者に与える。その時に視える世界は天才・原マスミさんの描くジャケットのように鮮やかで多様性に満ちた光景である。
カカオの発酵と砂糖のマリアージュによって生まれる果実感が特徴だ。まるでレーズンのような味わいも、カカオと砂糖のみで作られるという近年のチョコレートの概念を代表するベトナムは国旗のように赤い印象を与える。