ジャーナル

チョコレート最強伝説 #1 - ここは農園?ひとつの山は世界の縮図!

チョコレート最強伝説 #1 - ここは農園?ひとつの山は世界の縮図!

「ハッハァ~!ブエナスタルデェ~ス!!!」4年ぶりに会うロレンソさんは変わらずおおらかで、元気で、ボディがスゲーデカくなってました。僕もだけど。。。

これはグアテマラのカカオ農家、ロレンソさんと奥様のベロニカさん夫婦に纏わるお話。2010年頃にコバンという地域で元コーヒー農園だった土地を原生林のように戻し、マヤ文明を愛し、カカオの栽培を始めた二人の姿勢からこれからの世界の動向や商売の在り方がたくさんあります。USHIO CHOCOLATLの社主が、チョコレートの美味しさの背景とチョンと触れればカカオポッドがドカァーーーンと爆発しそうなくらいに詰まった浪漫をお届けします。

この農園のカカオ豆で作るチョコレートの特徴は他のチョコレートにはないボディの強さとレモンのような果実感溢れる酸味。そんな賑やかなカカオの味わいが脳天を直撃します。

使用している材料はカカオ豆とお砂糖だけなのに何故こんな沢山の色を見せるのか。その秘密を探るため再度、地球の反対側へと向かいました。東京から色々乗り継ぎ、ボディがバキバキになる約8時間の旅。グアテマラの西方アティトラン湖の集落の一つサンマルコスにロレンソさんの自宅があります。ロレンソさんはここには不在、好きに使ってくれとスーパー素敵な家に泊めてもらいました。

グアテマラの気候は亜熱帯。年間を通して暖かく、雨季と乾季にわかれています。今日は乾季に当たる12月で27度。湿度が低いので日本の夏よりカラッとしていて夜になると寒いくらいです。

僕達はチャーターした車でロレンソさんの農園、エル・ポルヴェニル農園へ向かいます。高速道路もない為10時間程かかります。途中色んな集落や街を通り、多様な民族衣装や暮らしを見る事ができます。一つ一つの文様に意味が込められていたりするそうで、どうやってあのデザインになったんだろうとかつての文明に想いを馳せながら眺めていました。様々な標高を経る為暑くなったり寒くなったり忙しくてウケます。どんな格好が正解なんだよ!

農園に着くと前よりすごく太ったロレンソと変わらない凛としたベロニカさんが迎えてくれました。再会を喜び、友人を紹介し、食事をし、一夜明けてからジャングルの様な農園を案内してもらいます。

農園と呼ぶにはあまりにも山。カカオの木は何処!?というくらいに多様な植物で溢れています。かつてはコーヒー農園だったというこの場所は入った当時は凄く枯れていたそう。なんというか禿山然としていたそうです。今は最早ジャングル。

「酷い状態だったよ。ここを先ずは自然な状態に戻す計画を立てて約10年、ようやくこんな感じになったんだよ!」

確かに4年前にきた時はもっとスッキリしていました(ロレンソさんのボディも)。

これは農園の山頂からの景色、標高約700m。グアテマラとマヤ文明に魅せられカカオの栽培を出来る土地を探していた時偶然リーマンショックによって地価が下がった(理屈はわからないけど、、)此処を見つけ買い取った旨を、何か冗談を言い子供の様に爆笑しながら伝えてくれました。

ロレンソさんは独学での森の再形成を失敗を重ねながら行い、原生林に近い状態を創り出しながらカカオの栽培を始めます。それが2009年の出来事。奇しくも社主・中村が地元福岡を飛び出した年。運命を感じざるを得ません。

カカオは品種にもよりますが年中実をつけるそうで、一年に二度ほど収穫最盛期を迎えるそうです。こうやって樹の幹にもボコボコ生えるというちょっとキモ、、不思議な見た目をしています。完熟したモノでも黄色や緑、真っ赤っかと多種多様です。

ロレンソさんはカカオの樹には60%程の日陰が必要だと考えています。日陰を作る役割を持つシェードツリーとしてオレンジやチーク、チチパテなどを選び育てています。他にもシナモン、オールスパイス、カルダモンといったスパイス系やコーヒー、ライチ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、マンゴスチン、ランブータンといった果物、さらには在来種の生姜、食べたらキマる(!)というムクナ豆などなど多種多様な植物を栽培、というか最早自生しています。

豚や鴨等の鳥達沢山の動物も此処に住んでいて「このひよこ達は昨日産まれたんだよ!」と嬉しそうに教えてくれました。もっと沢山、色んな生き物がこの山に生きる様に増やしていくと言っていました。

勿論、その中には食べる為という理由も含まれています。自分達で育て、自分たちで食べるという当たり前の様で世界の殆どの人が出来ていない営みが此処には確かに在ります。

動物達が雑草や気の実を食べ、糞をし、落ちた枯葉や土と混ざり腐葉土になって山が肥えていき、その養分でまた植物達が育っていく。そして花が咲いて虫が蜜を採り、受粉して実が生り種ができる。

ロレンソさん達はその惠を収穫して収益を得ています。この様な自然の循環を創る農法を「アグロフォレストリー」(英:Agroforestry)と呼ぶそうです。樹木を植栽し、樹間で家畜・農作物を飼育・栽培する農林業であり、農林複合経営とも呼ばれます。

#2に続く