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チョコレート最強伝説 #3 - 影響、変わっていく『使命』

チョコレート最強伝説 #3 - 影響、変わっていく『使命』

ロレンソさんは建築家としての一面も持っていています。なんとアティトラン湖のサンマルコスにある巻貝みたいな自宅は全てロレンソさんが設計、農園の方のお屋敷は元のデザインや材質を活かしつつリノベーション。(すごい!)

寝室から降りるとトイレ、そしてキッチン、リビング、そこからそのままアティトラン湖が一望出来る庭になっていて野良猫が寛ぎに来たりハチドリが食事に来たり今の日本からすると『ありえない』家。家を構築する素材も全て自然素材です。

仕事以外の時間の事は食事の時しか知りませんが、ロレンソさんが農園に向かう途中で買い出しをし、山で採れた作物などと組み合わせてお手伝いさんやベロニカさん、そしてロレンソさん自身が料理をして僕らをもてなしてくれました。

食事の時に話す事といえば、地球の環境の事、それを仕事とどう結びつけるか、子供たちの事、教育の話、グアテマラや日本の文化の事、そして勿論これからのカカオの事!

お屋敷に家族が増えていました。仔猫の『ぱんだ』です。懐っこくて可愛かった彼の名前の由来はそのまま白黒のパンダです。この子はお屋敷の中やまわりで自由にのびのびと過ごしています。かわいい。

お屋敷の家具や発酵器として使用する木箱などは、ロレンソさんがデザインして木工所に頼んでいます。

ここは農園から車で30分ほどのところにあり、ロレンソさんの友人が経営していて三代目だそう。二人はスゲー笑顔で挨拶しあって僕らを紹介してくれました。ここでは焼成した肥料として使用するモノやバニラ、胡椒の栽培も行われています。すぐ隣には小型の飛行機の発射場も在りそこも管理しているそうで意味が分かりません(笑)。

案内してくれている時に嬉しそうに犬が現れました。この子の名前は?と聞くと二人は声揃えて「ぱんだぁ~www」と嬉しそうに叫びました。白黒=パンダは世界共通なんだろうか!?

僕はロレンソさんとベロニカさんに魅せられています。彼らは明るく、理想を語り、語った内の半分は実現している。そして未来の話をし、それらも実現してしまうだろう。

常に最善を考え動き、勿論失敗も沢山しているだろうけど、全ては過程で死ぬまで続く人生という事業。彼らは死ぬ瞬間になんの後悔も遺さないだろう。そんな彼らと働くスタッフ達も明るいです。ロレンソさんは言います。「全員V.I.Pなんだよ!」。

難しい事は勿論沢山あるだろうし、それは課題につぐ課題でしょう。だけど彼らは、出来ない理由を全く口にしません。課題をクリアするにはどうするべきか、日々勉強を重ね哲学を深め、方法を探し出して、とびっきりの笑顔で実行する。日本で事業をする僕も勇気をもらえます。

この農園のカカオ豆は、市場価格の倍以上で販売されています。ロレンソさんの姿勢や哲学、実行していることを理解してくれる人にだけ買ってくれれば良いとそう言っています。

今自分に足りないモノが見えました。それは自分たちが住む土地への愛です。ロレンソさんとベロニカさんの圧倒的な輝きは、この土地とマヤ文明に対する愛が、人生を実行していくエネルギーと混ざり合って生み出されています。

僕(USHIO CHOCOLATLの魂)は金銭での尺度に傾倒し、バズるとか儲けるにはとかそういう事を考えることに重きを置いてしまっていました。勿論事業をしているから稼ぐ事は本当に大切です。だけどここにきて僕が見出した輝ける道筋は真面目に、コツコツと、土地を愛し、尊敬し、その想いが製品として具現化し、食べてくれる人の健康と生活にポジティブな影響を与え、また買ってくれて僕らもまたロレンソさん達からカカオを買い、次の事業を実現する資金になって、そこで働く人たちの生活を豊かにする。そして良いモノが更に生まれ、それを僕らが知り伝えていくというものです。

尾道という土地をこれから愛する事で皆さんにお届けする味が変わると思います。これからを楽しみにしていてください!

最後に、この旅に同行し盛り上げてくれた友達にありがとうを。

(写真・中村真也)